THE SOUND OF SECRET MINDS

LSTDのブログです

2024年3月の備忘録

3月も終わりますね。
ああ、年度が替わる。時間が過ぎるのが早すぎる。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

では、2024年3月のメモです。
今月も周回遅れになりつつ、気になった音源達です。



1.柴田聡子:「Your Favorite Things」2024.2 release


柴田聡子の通算7枚目のアルバム。
こうして柴田さんの音源をまじまじと聴くのは初めてだけど、彼女独特の世界観に引きずり込まれますね。それと同時にRYUTistとの親和性の高さを改めて確認できました。彼女の歌声を聴いているとRYUTistへの楽曲提供は必然なんだなと感じます。


Synergy







2.長岡亮介 & aus:「LAYLAND(EP)」2024.2 release


皆さんお馴染み、「コーラスとクラップだけで紅白に出られるギタリスト」長岡亮介の最新作は、フクゾノヤスヒコのソロプロジェクト『aus』とのコラボレーションによる、心地良いギターの音色と電子音の融合。心地良いチルなサウンドでした。


Hyatt Earp






3.Serph:「Weather Underground」2024.3 release


ここ数年の間に結構なペースでリリースを重ねている電子音楽家「Serph」の最新作。
以前はもっとポップでキラキラしたイメージだったのだが、前作辺りから内省的な部分に焦点を当てたサウンドになったような感じがします。でも、様々な音の断片を繋ぎ合わせたモザイクの様な音世界は変わらずで、良い意味での変態っぷりを発揮していると思います。


Mirror Neuron






4.ZAZEN BOYS:「らんど」2024.1 release


約12年ぶりとなる待望のニューアルバム。
ご本人の意図は分かりませんが、「くりかえされる諸行無常」の中で、こうして向井秀徳が叫ばなければならない理由が沢山あるのだと思っています。向井秀徳の社会を切り取る目とそれを言葉に乗せる凄み。この人は詩人です。是非このアルバムを通して聴いてほしい。それも色んな世代に。


ZAZEN BOYS - 永遠少女






5.離婚伝説:「離婚伝説」2024.3 release


離婚伝説、待望の1stアルバム。これは素晴らしいアルバムですね。
何処が素晴らしいかっていうと、これほどまでにコスパ・タイパが言われる令和の時代に、しっかりとイントロが用意され、ポップでキャッチーなメロディーが歌われ、間奏では良い塩梅の尺でギターソロが披露されるという、従来のポップスマナーに沿った楽曲構成だからです。
松田歩の爽やかなハイトーンヴォーカルと、別府純のツボを押さえた渋いギター。それは、シティポップとは言わずに敢えて「AOR」と呼びたいですね。


離婚伝説 - ミュージックフロムビッグハウス (Live Video)






6.竹内アンナ:「DRAMAS」2024.3 release


竹内アンナの3rdフルアルバムです。
メジャー・デビュー5周年になるんですね。以前にもブログに書いたと思うのですが、竹内さんは髪を金髪ボブにしてから、「育ちの良いお嬢さん風」から「アクティブなお姉さん風」にビジュアルイメージが変わりました。曲調自体は所謂シティポップ寄りな初期のころから比べると、より「ポップス」に変化した気はしますが、基本的には大きく変わっていないと思います。それでも『以前より明るくポップに』感じるのは、そのビジュアルの変化に因るところが大きいのでしょう。
3ndアルバムはどれも『今の彼女』の分身みたいなポップな楽曲達。昨年リリースされた「生活 feat. パジャマで海なんかいかない」の様な、ちょっと路線の違う実験的な楽曲が無いので若干の物足りなさはあるものの、すんなりと通して聴ける12曲、計37分。3:00前後の楽曲が多いのも令和です。
それにしても、先日行われた、パジャ海をバックバンドに従えたBillboard Liveツアー、行きたかったな、、、。


竹内アンナ 3rd FULL ALBUM『DRAMAS』クロスフェード


Anna Takeuchi - 最幸のふたり (Music Video)






7.サバシスター:「覚悟を決めろ!」2024.3 release


このブログで「『新潟市の東堀通にあるパンクショップ「GAIN GROUND」の常連だった女子高生が、上京して組んだ3人組ガールズバンド。』という情報をGAIN GROUNDのTwitterで知り、興味が沸いて聴いてみた。」と、1stEP「鯖ノ壱」を取り上げたのが、2022年10月。
あれから、様々なロックフェスから声が掛かる人気者となり、1年半が過ぎたらメジャーから音源がリリースされて、PIZZA OF DEATHがマネジメントを手掛ける程のバンドに育ちました。え? バンド結成してまだ2年?
サバシスターの面白さって、まずは、「どこにでも居そうな女の子達がバンドやっている感」。それも「楽しんでバンドやっている感」ですよね。さらにやっている曲調がこの時代においては割とオールドスタイルな、結構ヨナヌキなメロディに乗せた日本語パンク。その辺りも身近で妙な親近感が沸くんですね。そんなところが好い。 
きっとまだまだこの先も彼女達の快進撃は続くでしょう。


サバシスター - 覚悟を決めろ! Music Video






8.JACOB COLLIER:「Djesse Vol.4」2024.3 release


ジェイコブ・コリアーのDjesseシリーズのいよいよ最終章です。『ジェイコブ・コリアーと巡る音楽の旅』の壮大で荘厳な大団円。ジャズ、ソウル、ヒップホップからK-POPHR/HMに至るまで全てを飲み込んでゴスペルに昇華したというか、そんな印象でした。
このアルバム、シリーズの締めくくりのアルバムと言うだけではなく、彼のこれまでのキャリアの集大成とも呼べる素晴らしい作品です。スティーヴ・ヴァイマイケル・マクドナルドジョン・メイヤー、アヌーシュカ・シャンカール、クリス・マーティン、aespaといった豪華で多彩なゲストの、それぞれの個性を生かしながらもジェイコブ・コリアーの世界にまとめ上げるというディレクションの素晴らしさは、本当にこの人の豊かな才能の賜物なのだろうなと思います。コンポーザー、アレンジャー、そしてプロデューサーとして、クインシー・ジョーンズの正統後継者になって行くのでしょうね。

それと、私が今作で一番好きな楽曲が「Over You (Feat. aespa & Chris Martin)」なのですが、これを聴いて本当にK-POPは成功したんだなと思いました。北米の主なフェスでK-POPアーティストがヘッドライナーを務めるのは今や当たり前の状況になっていますが、今回こうしてaespaがフィーチャリングされて韓国語の歌詞で歌唱している事を鑑みると、非アジア人が主体のポップスシーンに於いて最大限のリスペクトをもって迎えられているという事ですからね。素晴らしいです。


Jacob Collier - Never Gonna Be Alone (feat. Lizzy McAlpine & John Mayer) [Official Music Video]


Jacob Collier - Over You (Feat. aespa & Chris Martin)






9.SHIN KOKAWA:「TOUCH THE SUBCONSCIOUS」」2024.3 release


jizueの元ドラマーにして即興独奏家「SHIN KOKAWA(粉川心)」の2ndアルバムです。
ジャンルを超えた様々なアーティスト(Shing02GOMA山本精一(BOREDOMS)、勝井祐二(ROVO)、石若駿、類家心平、井上銘、高橋佑成(日野皓正Quintet)、和久井沙良、橋本現輝など)との対話を通した即興から生まれる、オルタナティブかつプログレッシブなジャズを体験。これは文句無しにカッコいい!


touch the subconscious全曲解説🐍


【MV】cosmic circle(feat.勝井祐二 / 石若駿 / 橋本現輝)






10.フィロソフィーのダンス:「NEW BERRY」」2024.3 release


待ちに待った通算5枚目にして新体制での1stアルバムのリリースです。
シングルや先行配信による既発曲も多数あるため新鮮さはあまり感じられませんが、リード曲「Love&Loud」の素晴らしさと言ったら! これは新体制以降の新たなアンセムになるのではないかなと思います。インディーズ期からフィロのスを様々なメディアで取り上げて気に掛けてきた工藤大輝氏(Da-iCE)が作詞作曲から歌割までも手掛けており、「フィロのスの今までとこれから」と「5人の個性の輝きとシスターフッド感」が表現されているかなと思います。また、楽曲のイメージを最高にカッコ良く仕上げたCHOKKAKU氏による編曲。ブラスのアレンジなどかつてのSMAPを彷彿とさせ、いやもう、SMAPを引き継ぐのはフィロのスで良いのではないかと(笑) インディーズ期を楽曲面で支えてきた宮野弦士に「CHOKKAKUさんによる編曲は実家に帰って来た様な安心感」と言わせる圧倒的な『音の説得力』が素晴らしいです。
その他、和ぬか氏による歌詞の深読み必至な問題作(笑)「永遠頂戴」、手塚治虫の名作『火の鳥』をモチーフにした「ムーピー・ゲーム」など、バラエティ豊かなアルバムになりましたが、通して聴くとコンセプトアルバムの様な趣もあり、早くも新体制としてのマスターピースが出来上がったかなと思います。さらに11曲で37分12秒と令和フォーマットなのも今時。

それと、私個人としては、「Love&Loud」「キュリアス・イン・ザ・モーニング」「GO SURVIVE」、今回未収録ですが「It's show time」など、新体制では四つ打ちディスコファンクが一番しっくり来るので、この路線をもっと聴きたいですね。


フィロソフィーのダンス「Love&Loud」MV