THE SOUND OF SECRET MINDS

LSTDのブログです

若者達へ。

旧ブログでさんざん書いてきた事なので、もはや『言い飽きた』感は有るのですが、最近とあるPVを観て以来、「やっぱ、もう直ぐ50歳を迎える親父の小言として若者達に言っておかねばならんな。」と言うことで、あえてこのブログでも書いておきます。


ここ5年くらいハマって追い続けている、某アイドルグループが居ます。もう本当に大好きでファンクラブにも入ったりしていてですね。
何がそんなに好きかというと、彼女達のキャラクターは勿論の事、その音楽。クラブシーンにも精通した某サウンドクリエーターが手がけるその楽曲は、ダンスフロアと親和性の高いイカしたダンスミュージックで、気持ち良く揺れるには最高なわけですよ。

もう愛して止まない状態ですからね。彼女達のライブが新潟で開催されれば必ず行きますし、スケジュールの都合が付けば東京へも遠征に行きます。周りはひと回りもふた回りも歳の違う若者達ばかりですが、おっさんは臆せずに会場に乗り込みます。

ただ、ライブへ行くたびに会場の空気に強烈な違和感を感じてしまいます。
それは何かと言うと、ダンスミュージックに対する若者達の反応です。


ま、手っ取り早く言うと、こんな感じ。

ROCK IN JAPAN FES 2012
http://www.youtube.com/watch?v=O_DERb79SFw&feature=related


BPM130くらいのイイ感じのエレクトロ・ハウスが流れているのに、会場の若者達はみんな一緒になって拳を突き上げて跳ねているだけで、殆ど誰もダンスをしません。彼等の反応はロック系のライブマナーとしてはアリですが、それってただの煽りですよね。ダンスミュージックに対するマナーでは無いと思うのです。
さらに曲調が変わって、BPM110~120くらいのミディアムテンポの曲になるとどういう反応をするかというと、手拍子をパンパン(2・4拍の後ノリではなく、1・2・3・4ノリ)で立ち尽くしているだけなんです。せっかくイイ感じに腰に来るダンスビートが流れているのに、行儀良く立っているのです。不思議です。本当に不思議です。

件のアイドルがライブハウスでオールスタンディングのライブをやっていた頃は、それほど違和感を感じませんでした。確かにその当時も跳ねているだけの人や微動だにしない地蔵様も居ました。しかし、会場全体がそういう雰囲気ではなかったし、それぞれが思い思いのスタイルで自由に過ごしている印象がありました。リズムに合わせてクラブのダンスフロアの如く気持ち良さそうに踊っている人は結構居ましたし、私のようにクネクネと揺れる気持ちの悪いおっさんだってそれなりに居ました。もちろん、アイドルのライブならではの『ヲタ芸』を打っている若者達もおりました。
しかし、彼女達がブレークして大きなホールやアリーナなどで座席指定のライブをやるようになってからは『ヲタ芸』のコールも消え、気持ち良さそうに体を揺らす人たちも随分と減ってしまい、残ったのは前出の『跳ねているだけの若者達』と『行儀良く手拍子をする人』だけになってしまいました。
確かに座席があるのでクラブのフロアのように自由に踊る事は出来ませんが、周りのお客さんに迷惑にならない程度にリズムに合わせて体を揺らしたり腕を動かす事は十分出来るわけで、「ダンス出来ないなら跳ねようか」には至らないと思うんですよね。

まあ、そんな『踊らない彼等』も件のアイドルがステージ上から「はい! みーぎ! ひだり!」とか「上下上上下上下下」とか、振りの指導をすると喜んで踊ったりします。おい、踊れるじゃねーかよ! (っても、それって厳密にはダンスじゃなくて『振り』ですけどね。)


彼女達のライブでは、楽曲を担当するサウンドクリエーターがライブのために特別に用意したダンストラックをお着替えタイムで流してくれるのですが、コレがある意味ワンオフの贅沢の極みなので、私を含めた会場のダンス好きはここぞとばかり踊り狂うわけですが、『跳ねているだけの若者達』はどうしているかというと、突っ立ってスクリーンのVJ映像を眺めているだけなんですよね。つか、着座してボーっとしている人も多数。ま、こんな感じですよね。
で、そんな感じの若者達がこぞって『ファンクラブ限定Tシャツ』を着ているという事実も。


私はダンスミュージックに対してはダンスで応えるのがマナーだと思っています。
件のアイドル達は高校生の頃、『テクノポップアイドルユニット』を標榜する自分達の後学のためWIRE(*1)に見学に行ったりしていました。
ところがどうですか? ファンクラブに入るほど彼女達が好きなのに、彼女達がやっている『ダンスミュージック』を理解して愛そうとしない若者達のなんと多い事か。

いや、別にライブではどの様な楽しみ方をしても良いんですよ。跳ねようが手拍子パンパンしようが地蔵になろうが、みんなそれぞれの楽しみ方があると思うので。しかし、ダンスミュージックが主体のライブなのに、その客層が『拳を突き上げて飛び跳ねる派』と『行儀良く手拍子パンパン派』と言う、共にダンスミュージックのイメージとは大きくかけ離れていると思われる反応をするチームに2分され、ダンスミュージックの基本に忠実にダンスで応えようとする人達が圧倒的な少数派になってしまった現状の何と嘆かわしい事か。


では、私がここで苦言を呈するきっかけになったPVを紹介しましょう。
この曲は、彼女達の歴代の楽曲の中でも私的ベスト3に入るくらいに私の大好きな曲です。彼女達の世界進出に際して海外のリスナーに是非とも聴いてもらいたいと思っている曲ですが、この程、海外マーケットを意識したコンピレーションアルバムに収録され、PVが初回限定盤に収録されました。
世の男達に警告を発するようなイントロの強烈なシンセ音と下半身を直撃するスラップベース。跳ねながらも引き摺るようなセクシーなグルーヴ。昭和のムード歌謡を髣髴させるようなオリエンタルなメロディ。今までの彼女達の楽曲に無かった『セクシーな夜』を想像させてくれるこの曲を引っさげて海外のシーンに打って出る彼女達に、最大級のエールを送りたいんです。

どうですか? 楽曲は素晴らしいし、映像処理も言う事は無い。もちろん彼女達のダンスも良い。しかし、観客(ファンクラブから選抜されたエキストラの若者達)が全てを台無しにしている。
まあ、100歩譲ってイントロ部分とサビは許す。しかしそれ以外の部分は絶対にあり得ない。センスの欠片も無い。




みんなさあ、ファンクラブ会員になるほど彼女達が好きなら、楽曲のベースになっているダンスミュージックにも興味を持ってみませんか?

ダンスミュージックで踊ってみませんか?


:追記
件のアイドルグループのメンバーの『○っち』さんは、初めての東京ドーム公演に際して、ファンに向けたコメントとしてこんな事をおっしゃっていました。

「お洒落して踊りに来てね!」

彼女達のファンに圧倒的に足りない部分は、正にソコではないでしょうか?
私はライブの際には、彼女の希望にそえるように何時も最大限の努力で臨んでおります。



:注釈
(注1) 解説をするまでも無く、国内最大級の屋内レイブの名前。