THE SOUND OF SECRET MINDS

LSTDのブログです

終了フラグが立った?

「CDが売れないのは違法ダウンロードが後を絶たないからだ。」

音楽業界の皆さんはそんな事を言い続けていますが、そもそも誰かが音源をアップロードしてソレを別の誰かがダウンロードする行為。これは「みんなでコレを聴こうよ」という『音源をシェアする』行為ですよね。
(お金のやり取りがない事を前提でね。ココ大事!)

ネット以前、それこそアナログ盤やカセットテープの時代にも音源をシェアする行為はありました。
仲間内で誰かが新譜を手に入れるとそれを順番で聴き回したりカセットテープにダビングしたりね。そもそも、天下のNHK-FMがアルバムをほぼ1枚丸ごと流す音楽番組を放送して音源をシェアした時代もありましたよ。みんなでこぞってエアチェックしたものです。


改正著作権法によって違法ダウンロードが罰則化されます。

素朴な疑問
1.ストリーミングはダウンロードに入りますか?
2.違法か合法かの判断を視聴者側で出来ますか? それは一目で判るものですか?
3.法律施行前に既にダウンロードされたデータの扱いはどうなりますか? 

1.文化庁YouTube等の再生時キャッシュは著作権法上の複製に当たらないという見解を出しているそうですが、HDDにファイルが残る以上は「キャッシュか著作物の違法ダウンロードか」の判断を刑事実務側でちゃんと行えるのか甚だ疑問。
2.そんなの判りませんよね。じゃ、『適合マーク』でも付けますか? って、そんなもん簡単に偽造できるし。
3.法律は過去に遡らないのが原則だけど、ファイルの作成日なんて簡単に変えられる。みんなダウンロードしたファイルの日付を2012/09/30に変えてしまえばいい。

とまあ、こんな感じで穴だらけ。
そもそも、ダウンロードを厳罰化する前に、アップロード行為を止めさせるのが先じゃないのか?


音楽業界はCDが売れないのを誰かのせいにしたいようだが、それは業界自身のせいでもある。
CDが売れないのって、近年の娯楽の多様化と不景気による可処分所得の低下で『CDを買う』という消費行動の優先順位が下がったのが一番の要因でしょ? 本来なら『CDを買ってもらう様に、魅力あるコンテンツを創作する』という企業努力が最優先されるべきなのに、それを「CDを買わないでタダ聴きする盗人が居るからだ」と音源をシェアする貧乏な若者達を目の敵にする。『タダ聴きする盗人』ならCDが沢山売れた時代から大勢居るんだけどねー。

誰もが『お昼代を切り詰めてでも小銭を貯めて、是非とも自分の所有物にしたい』と思えるCDをリリースすれば?
ミリオンセラーってのはそうやって生まれるものですよ。タダ聴きする盗人を100万人逮捕して生まれる音楽ではないと思うの。日本の音楽業界が違法ダウンロードの罰則化によってCDの売り上げが元に戻ると本気で考えているなら、音楽産業終ったわ。


ネットは新しい音楽に出逢うきっかけになる。具体的には、違法に上げられたPVや音源が持っている「当該アーティストのプロモーション」という側面だ。2007年の夏にYoutubeやニコニコに「違法に」アップロードされたPVを見まくったおかげで立派なPerfumeヲタに育った人が既にココに居る。そして、その結果、正規に販売されている(廃盤を除く)殆ど全てのリリース音源を購入してCD、DVDの売り上げに大いに貢献もしている。
決して著作権違反を推奨しているわけではない。それよりも、業界側はもっとネットをうまく使えば良いのにと思う。音源の試聴はダイジェストでなくフル試聴(ただし低ビットレート)にしてブログ等に埋め込み可能にするとかしてね。PVも同様。とにかくがんがんばら撒けば良いのに。そんな「低音質・低画質」のコンテンツで我慢してそのまま自身の環境で視聴を続ける人は当然居るだろうけど、それよりもバイラル的な広がりの方が大事だと思うし、「金を払ってでも正規版が欲しくなるコンテンツ」をリリースすれば良いだけの話でしょ。



まあ、そんな感じでネットにつながっているのは皆盗人だと信じて疑わないレコード会社は疲弊していけばいい。

あとは『無料で音源を配布してみんなでシェアする』ネットレーベルがこの世界を席巻して、リアル世界を嘲笑うようになる事を期待して。

マルチネ頑張れ